すべての最新治療が良いわけではありません

新しいものに魅力を感じるのは人間の習性ですから、

「最新治療」と聞くと、「凄そう」「効きそう」と感じる方がほとんどでしょう。

ただ、気を付けてください。

効くものもありますが、気を付けないといけないものが多いことも事実です。

数々の実験を繰り返し、学会で発表をしてから、世の中に出てくる大学病院が主体となって開発した治療法と違い、

個人が主体となって開発した治療法は、あやしいものが多いのです。

パーフェクトペリオ

例えば、パーフェクトペリオ

2009年にお昼のワイドショーで特集され、歯周病が治るという触れ込みで流行した治療法です。

パーフェクトペリオについて日本歯周病学会の見解

特殊な機械を使って次亜塩素酸ナトリウム入りの水を生成し、その水で毎日10秒うがいをすれば虫歯・歯周病にならないという触れ込みですが、

日本歯周病学会が2010年に出した公式なポジションペーパーには、パーフェクトペリオのヒト応用に関しての科学的根拠は不明とされています。(個人的には効くわけないと思っています)

 

外国から個人輸入しているクスリにも注意

薬事法(クスリの認可)に通っていなく、外国から個人輸入しているクスリも注意が必用。

「ドッグスベストセメント 」という虫歯を残したまま封鎖して問題無いというセメントがありますが、これは日本の薬事法を通っていません。

インターネットで検索してみたところあまり良い評判は無く、失敗例が散見していました。

そもそも、同様の薬には昔から存在する信頼性の高い「水酸化カルシウム製剤」や、薬事認可されている「MTA」があるのでそれを使えば良いのでは…、と思います。

このたぐいのものは、いつの世にも出てきます。

ただ、実際に定着するものはごくわずか。

たいていは自然淘汰されます。

 

治らない治療法は淘汰される

よく行くバーのマスターにこう尋ねられたこともあります。

「内田さん、虫歯を無くす画期的な方法があるって聞いたんですけど、本当なんですか? 抗生物質を歯に詰めるみたいなんですけど」

…、たぶん、3Mix-MP法についてだと思います。

3種類の抗生物質を混ぜた薬剤を虫歯の穴につめると、無菌化して削らずに治せるといった方法です。

わたしが歯医者になりたての2000年代初めに流行った治療法で、その当時は専門書も出ていました。

3MIX-MP法の専門書

ただ、この治療法、個人的な見解でいえば「当たるも八卦当たらぬも八卦」

はっきり言って、治らないことが多いんですね…

そう思いながらインターネットをみていたところ、保存学会の公的文書がでてきました。

やっぱり「治らない方法なので推奨しない」と書いてあります。

保険が効かない治療法ですので、全額自費になりますし、それでいて「治るかどうか、わからない…」

治療するほうも、されるほうも、非常に困ります

 

最新治療の導入方針

賢明な方はおわかりかもしれませんが「最新治療」は実際に使われた期間が短いため、治療結果についてあやふやなことが多いです。

そのようなことから

宣伝文句を真に受けて「絶対大丈夫。効くから大丈夫ですよ!」と自信満々に言ったのに、

「あれ…。上手くいっていない…どうしよう…」ということにならないよう、新しい薬、治療法にはすぐに飛びつかないようになりました。

まずは情報を集め、しばらくたった後に良否を見極めたうえで導入する方針です。