奥歯のセラミック模型

まず、最初に… 少し前置きを。

歯の治療には 「歯の病気の治療」 と  「歯を再建する治療」 があります。

風邪が治らなければ内科へ、皮膚がおかしければ皮膚科へ行きますね。

そんなとき、通常は診察のあとに薬をもらって「気になるようでしたら、またいらしてください」ってなります。

個人的な想いとしては、このような 「痛い・腫れた」などの「病気の治療」はすべて保険でカバーしたいところです。

では 「痛い・腫れた」が治ったあとはどうなるでしょう

風邪をひいても安静にすれば良くなりますし、傷ができてもいずれ元に戻ります。たいていの病気は、大病でない限り身体の治癒力が治してくれるからです。

ところが、歯は違います。

歯は再生しませんので、虫歯によってあいた穴は人為的に埋めないかぎりそのまま。

ブリッジ装着のイラスト

「銀歯を作る、ブリッジを被せる」などの「歯を再建する治療」をおこなわなければ再び噛むことはできません

そして、歯を再建する方法には、保険~自費まで、さまざまな選択肢があります。

 

「歯の再建」は、バリエーションに富んでいます

豪華なショッピングモール

洋服にはいろいろな種類があり、価格帯もさまざま。

ユニクロを好む人もいれば、
ユナイテッドアローズなどのお洒落なものを好む人もいます。

バーバリーなどのブランド物が好きな人もいますね。横から見たクルマクルマもそう。

実用的で燃費の良いアクアを選ぶ人もいれば、見た目がかっこいいSUVを買う人もいます。
所得が多い人はレクサスかも。

被せもののイラスト歯も同じです。

「保険の歯」から 「自費の歯」までいろいろなバリエーションがあり、

ひとまとめに 「被せもの」といっても保険の歯でよい人もいれば、多少お金がかかっても自費の歯をいれたい人もいます

お金をかけて歯を綺麗にしたい人に保険の歯を入れてはおかしいですし、保険の歯を選びたい人に自費の歯をおすすめしても閉口してしまうでしょう。

歯の被せものは、その人の価値観にあったものを選ぶのが自然です。

 

「見た目を綺麗にしたい」という要求は、保険の範囲外

厚生労働省のビル

保険診療には国(厚生労働省)の決めた制約(材料の種類、治療の順序、治療の方法など)があり、保険の歯を入れると、周囲の歯と色が違う、歯のかたちが不自然、といったことがたびたび起こります

これは、健康保険は「病気を治す」のが目的で、「見た目を綺麗にしたい」といった審美的な要求は保険の範囲外だから。(美容整形に保険が効かないのと同じ理由です)

ですので、歯の見た目を綺麗にしたい人は「自費の歯」を選ばないとです。

 

「自費の歯」の素材はセラミックです。

歯は先端に透明感があり、根元へ向かって徐々にグラディエーションを帯びています。

セラミックの築盛

セラミックは細かい色調整ができるので、そのような歯の透明感とグラディエーションを再現できます。

また、「特有の艶」によって独特の質感も得られます

メタルボンドという種類を選べば技工所の立ち会いのもと、さらに詳細な色の選択も可能です。

顔の中でその人の印象を決める重要なパーツは「歯」

「白く綺麗な歯」は第一印象をアップさせ、自分に自信を持たせます。

カメラを持っている歯科技工士

 

セラミックは何歳になっても綺麗

見た目を綺麗にしたい人にセラミックをおすすめするのは、保険の被せものに審美的な問題があるから。

硬質レジン前装冠のイラスト

保険の被せものは白い部分にプラスチックを使いますが、プラスチックは下の写真のように変色します。

変色したキーボード

そのため保険の被せものは、年を追うごとに色が変わっていきます。

そして、最終的に「色の違う歯がある状態」になります。

経年劣化した保険の被せもの

それに対し、セラミックは変色しません。

セラミックの別名は「陶磁器」。お皿や陶器の素材と同じです。

白いお皿

陶磁器で作ったお皿は何年経っても変色しません。

100年経った陶器

(出典:http://pukupukukichi.blogspot.com/)

上の写真は、江戸時代中期の食器。100年以上たった今でも、色鮮やかな状態です。

それと同じように、セラミックは何年たっても最初と同じ状態。

模型上のセラミック

30歳でいれたセラミックは、その人が80歳になっても綺麗なままです

この「変色しない」という特徴が、わたしがセラミックをおすすめする一番大きな理由です。

どこがセラミックでしょうか?

前歯部のセラミック

どこがセラミックで、どこが天然歯か、おわかりになりますか?

チェアサイドでのカービング

このケースは技工士が直接色合わせをし、歯のかたちを確認しました。

前歯のセラミック 咬合面観

その後セットへ。黄色い〇の部分がセラミックです。

前歯のセラミック 正面観

自然な色合いで、歯特有の透明感があるのがわかると思います。
変色しませんので、適正なメンテナンスをしていけば何歳になっても綺麗な状態です。

セラミックと保険の被せものの対比

「セラミック」と「保険の被せもの」を比較すると、審美性の違いがわかります。

セラミックの目的は審美

シェードテイク後の写真撮影

仮歯ひとつとっても、保険と自費だと意味合いが違います。

保険の仮歯は治療期間中のお食事用のもので、見た目にそれほど時間をかけれらません。

それに対して、セラミック治療は自費なので、理想の見た目を追求するために仮歯を作ります。

例をあげてみます。

「ここ最近、右上の歯から膿がでている」と来院された方です。

レントゲンを撮ると歯根が内部吸収し、残念ながら保存不可能な状態でした。

レントゲンで内部吸収を確認

前歯のセラミック 術前

お話を伺うと
「前歯のハグキが下がって、見た目も気になるんです」とのこと。

​「あまり年齢があがってからの治療は体力的に大変だから」とおっしゃい、
これを機にセラミックにすることになりました。

除去前の状態

歯周病検査の値

ハグキを検査したところ、ほぼ問題ない状態。

治す歯は9本。下のような順序で治療することにしました。


 

①9本全ての歯を外し、仮歯へ

②膿の原因となっている犬歯を抜歯
(前歯を抜くことになりますが、すでに仮歯が入っているので見た目の問題は生じません)

③咬み合わせ・形態の調整をしながら、1~2ヶ月 抜いた傷が治るのを待つ

④型どりし、セラミックの被せもの製作へ

治療期間はおおよそ3ヶ月

 


後日、歯の除去と同時に仮歯を作ります。

除去した古い被せもの

調整前の長い仮歯

元の歯が長かったので、最初の仮歯は長くなってしまいました。

除去に30分、外した後の修正に30分、仮歯製作~仮着に1時間半、合計2時間半です。

修正ラインをいれた仮歯

この日は患者さんもわたしも疲れてこのまま終わりましたが、実際は鉛筆のラインまで歯を短くしたほうが綺麗です。

セラミック治療をご希望の方は、自分の歯に何らかの不満があって来院されるので、前の歯と同じかたちでは意味がありません

そこで、かたちを修正した仮歯を実際に使っていただき、最終的な歯をイメージしていきます

修正した仮歯

女性のお顔には、丸みを帯びた柔らかいかたちが似合いますので、全体的に短くして歯をふっくらさせました。

しばらく仮歯の修正を重ね、抜歯後2ヶ月経ったころにセラミックをつくります

今回はメタルボンドですので技工士が来院し、色合わせをしました。

シェードテイクしているところ

その後、完成しセットします。

完成したセラミック

セットしたセラミック

細長かった歯が、綺麗な卵型になりました。

セラミックなら、あなたの納得がいく「歯のかたち」を追求できます。

セラミックの術前・術後

※術前術後には個人差があり、同様の治療結果を示すものではありません。

 

セラミックの種類

「メタルボンド」 と 「オールセラミック」

セラミックのかぶせ物は、昔からある「メタルボンド」と、2000年代から一般化されてきた「オールセラミック」の2種類に大きくわかれます。

メタルボンドの構造

メタルボンドは金属のフレームにセラミックを貼り付けた構造で、1960年代から使われています。 約50年の歴史のあいだにさまざまな不具合が改良された信頼性の高い治療法です。

現在、セラミックは2つの技工所に頼んでいます。

ひとつは全国展開している大型技工所。もうひとつは数人で経営している通常規模の技工所。

​(歯科医院もそうですが、大部分の技工所は1~10人規模です)

シェードテイクをしている姿 シェードテイク後の相談

通常の技工所は、上の写真のように技工士が直接、色を見てくれます。

作っているセラミックスは「メタルボンド」のみで「オールセラミック」は扱っていません。

(オールセラミック用のCADCAM装置は設備投資の額が大きすぎ、購入しないとのこと)

審美的な場所は、技工士が色を見ないと問題がでます。

ですので、前歯の色を詳細に再現する必要がある場合、立ち会いに来ていただけるこちらの技工所での「メタルボンド」になります

メタルボンドは技工士の手作業でフレームに焼成用セラミックを盛り付け、高温窯で焼き固めてを繰り返してつくります。

技工士学校を卒業してからトレーニングを積み、徐々に技術を習得していく職人技です。

 

ただ、メタルボンドは長いブリッジでは重くなる、貴金属高騰の影響でコストが上がる、などの点から、金属を使用しない「オールセラミック」を使うこともあります。

フルジルコニアクラウン

オールセラミックには「プレスセラミック」「ジルコニアボンド」「フルジルコニアクラウン」の3種類があり、専用装置をもっている大型技工所に発注します。

CADCAM装置

大型技工所は営業職が仲介して歯科医院を訪れ、技工士は直接来院しません。

ですので、技工士の立ち会いが必要な、隣りの歯と色を合わせる高度な色調の再現は、オールセラミックでは出来ません

色を厳密に再現しなくて良いケース、例えば奥歯や、全ての歯を被せなおすケースがオールセラミックの適応です。

 

セラミックの料金

メタルボンド

メタルボンドの構造

貴金属のフレームに、セラミックを焼き付けた構造。強度・適合に優れているので、自費を考えている人に一番おすすめしています。

技工士が来院し、色合わせをしてくれます。

メタルボンド  ¥80.000+税

オールセラミック

プレスセラミック系

鋳造方法 プレスセラミックスのペレット

プレスセラミックはオールセラミックの一種で、材料を熱で柔らかくして鋳型に流し込む方法(ロストワックス法)でつくります。

e-maxプレスという材料がメジャーなので「e-max」とも呼ばれます。

e-maxクラウン

e-max

セラミックの中で、もっとも審美的な透明感が出ます。 鋳造できるセラミックを使用しているため適合性も良好。

フレーム構造が弱いので、大きいブリッジには使用できません。

16色の中から近似した色合いを選択します。

e-maxクラウン ¥80.000+税

ジルコニア系

削りだしたジルコニア
「ジルコニア」は非常に硬いセラミックです。

硬すぎて加工できなかったのですが、2000年代にCAD/CAM装置の開発が進み、削り出せるようになりました。

ジルコニアボンド

ジルコニアボンドの構造

ジルコニアフレーム(高強度セラミック)に焼成用セラミックを焼き付けた構造。金属を使わないので透明感が増します。

16色の中から近似した色合いを選択します。

ジルコニアボンド ¥90.000+税

フルジルコニアクラウン

フルジルコニアクラウン

ジルコニアフレーム(高強度セラミック)単体の構造。複雑な色調が再現できないので奥歯に使用します。

4色の中から近似した色合いを選択します。

フルジルコニアクラウン ¥70.000+税

※大変申し訳ございませんが、フルジルコニアクラウンは現在、取り扱っておりません。

 

セラミック治療の進み方

笑顔の女性

コンサルテーション

お口のチェックをおこなった後、セラミックに関してのご相談をお伺いします。
疑問点がありましたら、どんどんお尋ねください。

やじるし

歯科診療ユニット

初期治療

型どりまでにハグキの状態を整えます。
根の病気があったら、事前に根の治療もおこないます。
(初期治療は保険で可能です)

やじるし

プロビジョナルレストレーション

シュミレーション

皆様、自分の歯に何らかの理想をお持ちです。
仮歯を実際に使っていただき、最終的な状態をイメージしていきます。

やじるしシェードテイク

色合わせ

ガイドを元に、お顔とマッチした歯の色を選びます。
メタルボンドという種類は技工士が来院し、色調選択をおこないます。

やじるし

完成

セット

調整した後に接着します。

 

やじるし

PMTC

メンテナンス

定期的なクリーニングをおこないます。
セラミックは変色しませんので、適正なメンテナンスをしていけば何歳になっても綺麗な状態です。

 

歯並びが気になるのだけど、矯正が良いの? セラミックが良いの?

?マークの女性

矯正治療は歯を削りませんが、治療期間は最低でも2~3年。
治療期間中は歯に矯正装置がつくので、見た目はあまり良くありません。
また、歯の色調・かたちはそのままです。

セラミックは大幅な歯並びの改善はできませんし、歯を削る必要もあります
ただ、矯正治療とくらべて治療期間が短く、 歯の色調・かたちも綺麗になります。

歯の状態により、どちらが良いかわかれますので、診査した後にお話ししています。なお、矯正治療をご希望の方には矯正専門医をご紹介しております。

 

実際に治療したケースをご紹介します

​セラミック治療例①

少数歯セラミック 術前

「本当は全部セラミックにしたいのだけど、予算の点から、上の前歯2本だけ治療してほしい」
とおっしゃって来院された方です。

歯の質が弱く、多数の初期虫歯ができていました。

進行している虫歯を先に治療し、その後セラミック治療をおこないます。

セラミック 歯を削った後

神経に刺激をあたえないように前歯2本を削り、その場で仮歯をいれます。慎重におこなったので1時間半かかりました。

作製中の仮歯 仮歯を装着した状態

しばらく仮歯で過ごしていただいて、形態、咬み合わせをチェックします。

問題ないことが確認できたので、色合わせしました。

シェードテイキング

その後、技工所でセラミックを仕上げてもらいます。

完成したメタルボンド セットしたメタルボンド

セットしました。

セラミックは1本8万円前後と高額です。

この方のように、一番目立つ場所だけ被せるのも手段の一つです。

「治療前」「治療後」の比較

少数歯セラミック治療前 少数歯セラミック治療後

※術前術後には個人差があり、同様の治療結果を示すものではありません。

セラミック治療例②

変色した前歯

神経をとってそのままだと、歯はだんだん黒ずんできます。そのような変色した歯をセラミックで治しました。

前歯数本が変色していますが、やはりもっとも目立つ一本を治療することになりました。

仮歯を装着した状態

直接法でファイバーポストをつくり、一気に仮歯にします。1時間半かかりました。

仮歯にした状態で形態、咬み合わせを1ヶ月ほどチェックします。

シェードテイキング

このケースはメタルボンドなので、技工士が来院し、色合わせをおこないました。

模型上のセラミック

仕上がりました。

セットしたセラミック 正面観

セットしました。治療期間は1ヶ月半です。

セットしたセラミック 側方面観

「治療前」「治療後」の比較

変色歯へのセラミック治療前  変色歯へのセラミック治療後

※術前術後には個人差があり、同様の治療結果を示すものではありません。

セラミック治療例③

奥歯にセラミックのブリッジをいれたケースをご紹介します。

奥歯の銀歯

「奥歯がゆれている」とおっしゃって来院された方です。10年以上前に移植した親知らずだそうです。

膿がたまった歯根のレントゲン写真

移植した歯は5年過ぎたころから骨が吸収することが多く、レントゲンを撮ると周囲骨が無くなっていました。

「揺れている歯は残念ながら元に戻りませんので、抜歯した方が良いと思います。
その後、1~2ヶ月待ってからブリッジをつくるのが一般的ですが、どうされますか」

とお話ししたところ、

「わかりました。先生、多少お金がかかっても白いのでお願いします」

とのお答えで、セラミックのブリッジで治すことになりました。

抜歯後の状態

後日、揺れている歯を抜きました。

仮歯を装着した状態

抜いた傷が治るまで、仮歯をつけておきます。

前後の歯は神経を残しました。神経を残すことで歯の寿命が延びます。

シリコンでの型取り

抜歯後2ヶ月で傷がほぼ治りましたので、型どりします。

模型上のセラミック

セラミックが完成しました。

装着した奥歯のセラミック

装着しました。

下の歯は口をあいた時に見える場所なので、セラミックを希望される方も多いです。

「治療前」「治療後」の比較

奥歯のセラミック治療前 治療後

※術前術後には個人差があり、同様の治療結果を示すものではありません。

セラミック治療例④

形態不良の前歯

「鏡で自分の顔を見たときの前歯のかたちがずっと気になってて…」とおっしゃって来院された方です。

ご相談の結果、セラミックで治すことになりました。

シェードテイキング

初期治療を終わらせてから、古い歯を外します。

違う角度からのシェードテイキング

技工士が来院し色合わせをしました。その人固有の歯の色をチェックします。

完成したセラミック

セラミックが仕上がりました。

装着したセラミック

セラミックを装着しました。治療期間は3ヶ月です。

「治療前」「治療後」の比較

前歯ブリッジのセラミック治療前 治療後

※術前術後には個人差があり、同様の治療結果を示すものではありません。

「保険の歯」から 「自費の歯」まで、さまざまな選択肢があります

「あそこの歯医者だと、保険の歯しか選べない」「こっちの歯医者だと、自費の歯しかない」というのだと問題でしょう。

「保険の歯」から 「自費の歯」まで、いろいろなバリエーションをそろえていた方が喜ばれます。

セラミック治療は、独身の人は「ブランド品を買うようなもの」、世帯を持っている人では「高価格の耐久消費財を買うようなもの」

ブランド品は持っていることで高い満足感を得られますし、手入れをしっかりしていれば物が良いので長く使えます。

高価格の耐久消費財(乗用車、テレビ、冷蔵庫など)も、やはり適正なメンテナンスという前提はありますが、一度購入したら長く使い続けることができます。

セラミックは高価ですが、綺麗な歯によって高い満足感が得られますし、変色しませんので、メンテナンスをしていけば何歳になっても綺麗な状態。

​あなたが「自分の歯を綺麗にしたい」「自分の歯を理想のかたちにしたい」などお考えでしたら「セラミック治療」もご検討ください。