先日、診療後に「インターネットで見たんですけど、アマルガムって交換したほうがいいんですか?」と質問されました。
歯科では1970年代~80年代に多く使われていました
水銀の合金の総称を 「アマルガム」と呼び、歯科では1970年代~80年代に銀が多く含まれる「銀アマルガム」が使われていました。
今はプラスチック材料が発達し「アマルガム」は使わないですが、40代以上の方は小さい頃に充填されていることが多いです。
さて、この「アマルガム」、水銀って聞くとドキッとしてしまうかもですが、詰め物がそのままでも大きな問題はありません。
水俣病などの公害や、食物連鎖のトップにいる魚(マグロなど)に多く含まれていて問題なのは 「有機水銀」ですが、アマルガムに入っているのは「無機水銀」で、違う物質です。
アマルガムに入っている「無機水銀」は安定していて、溶け出すことはありません。
インターネットで検索すると…
インターネットで検索すると
「アマルガムの50%は水銀」
「アマルガムを除去するだけで8~9割の人のさまざまな症状が改善」
と載っている記事が何個も出てきます。
実際の組成は
どうして、そんな記事が出回るのかわかりませんが、
新歯学大辞典(永末書店)には
「銀アマルガム用合金の組成は、銀最低65%、スズ最低25%、銅最高6%、亜鉛最高2%、水銀最高3%とJIS規格で定められている」
とあります。
つまり「アマルガムの50%は水銀」は間違いで、実際は3%。
その3%の水銀も安定している「無機水銀」です。
「除去するとさまざまな症状が改善」という話に科学的根拠はありません
わたしはアマルガムは使用していませんし、アマルガムの除去も日常的にしていますが、
「アマルガムを除去するだけで8~9割の人のさまざまな症状が改善」に科学的根拠はありません。
金属アレルギーのパッチテストによって抗原反応があると判定された場合は別ですが、何でもない人に 「除去したほうが良い」と伝えるのはどういうことなのかなぁ、と思います。