セラミック治療についてお話します。
まず、最初に… 少し前置きを。
歯の治療には 「歯の病気の治療」 と 「歯を再建する治療」 があります。
風邪が治らなければ内科へ、皮膚がおかしければ皮膚科へ行きますね。
そんなとき、通常は診察のあとに薬をもらって「気になるようでしたら、またいらしてください」ってなります。
個人的な想いとしては、このような 「痛い・腫れた」などの「病気の治療」は 保険診療でカバーしたいところです。
では 「痛い・腫れた」が治ったあとはどうなるでしょうか?
あなたが風邪をひいても安静にすれば良くなりますし、傷ができてもいずれ元に戻ります。たいていの病気は、大病でない限り身体の治癒力が治してくれるからです。
ところが、歯は違います。
歯は再生しませんので、虫歯によってあいた穴は人為的に埋めないかぎりそのまま。
「銀歯を作る、ブリッジを被せる」などの「歯を再建する治療」をおこなわなければ再び噛むことはできません。
そして、歯を再建する方法はさまざまな選択肢があります。
「歯の再建」はバリエーションに富む
洋服にはいろいろな種類があり、価格帯もさまざま。
ユニクロを好む人もいれば、
ユナイテッドアローズなどのセレクトショップを好む人もいます。
バーバリーなどのブランド物が好きな人もいますね。
クルマもそう。
実用的で燃費の良いアクアを選ぶ人もいれば、見た目がかっこいいSUVを買う人もいます。
所得が多い人はレクサスかも。
歯も同じです。
「保険の歯」から 「自費の歯」までいろいろなバリエーションがあり、
ひとまとめに 「被せもの」といっても保険の歯でよい人もいれば、多少お金がかかっても自費の歯をいれたい人もいます。
お金をかけて歯を綺麗にしたい人に保険の歯を入れてはおかしいですし、
保険の歯を選びたい人に自費をおすすめしても ”それはちょっと…” となってしまうでしょう。
歯の被せものは、その人の価値観にあったものを選ぶのが自然です。
「見た目を綺麗にしたい」という要求は、保険の範囲外
保険診療には国(厚生労働省)の決めた制約(材料の種類、治療の順序、治療の方法など)があり、保険の歯を入れると、周囲の歯と色が違う、歯のかたちが不自然、といったことがたびたび起こります。
これは、健康保険は「病気を治す」のが目的で、「見た目を綺麗にしたい」といった審美的な要求は保険の範囲外だから。(美容整形に保険が効かないのと同じ理由です)
ですので、歯の見た目を綺麗にしたい人は「自費の歯」を選ばないとです。
「自費の歯」の素材はセラミックです。
歯は先端に透明感があり、根元へ向かって徐々にグラディエーションを帯びています。
セラミックは細かい色調整ができるので、そのような歯の透明感とグラディエーションを再現できます。
また、「セラミック特有の艶」によって独特の質感も得られます。
セラミックは何歳になっても綺麗
セラミックは何歳になっても綺麗です。
保険の被せものは白い部分にプラスチックを使いますが、プラスチックは下の写真のように変色します。
そのため保険の被せものは、年を追うごとに色が変わっていきます。
そして、最終的に「色の違う歯がある状態」になります。
それに対し、セラミックは変色しません。
セラミックの別名は「陶磁器」。お皿や陶器の素材と同じです。
陶磁器で作ったお皿は何年経っても変色しません。
(出典:http://pukupukukichi.blogspot.com/)
上の写真は、江戸時代中期の食器。100年以上たった今でも色鮮やかです。
それと同じように、セラミックは何年たっても最初と同じ状態。
30歳でいれたセラミックは、その人が80歳になっても綺麗なままです。
この「変色しない」という特徴が、わたしがセラミックをおすすめする大きな理由です。
セラミックの目的は審美
セラミックの治療例をひとつ、ご紹介します。
「ずっと前から、上の前歯のかたちが気になっているんです」と来院された方です。
「治療しようか悩んでいて… でも、ずっとこのままの歯でいるのもイヤだし…」とおっしゃっていました。
いろいろお話しを伺ったあとに、セラミックの利点をお話しすると
「先生、やってみます」とのこと。
前歯4本のセラミック治療になりました。
セラミックをご希望の方は、自分の歯に何らかの不満があって来院されるので、前の歯と同じでは意味がありません。
そこで、理想のかたちに仕上げた仮歯を実際に使っていただき、最終的な歯をイメージしていきます。
なお、保険と自費では仮歯の目的が違います。 保険の仮歯は治療期間中のお食事のためですが、セラミックの仮歯は見た目を追求するためのものです。
今回は、歯を削るのに30分、仮歯製作~仮着に1時間、合計1時間半かけて仮歯にしました。
1ヶ月ほど使っていただき問題ないことを確認した後、セラミックをつくるための色調データを採得します。
専用の色見本をカメラで記録し、データを技工所に送りました。
歯の色は、その人その人で求める色合いが違います。
「わたしはすごく白い歯にしたいんです」という人がいれば、
「周りの歯と似た色合いで、自然な感じに仕上げて欲しいです」という人もいますので、
ご希望を伺って、ご相談しながら色を決めていきます。
セラミックの種類によっては削った歯の色が透けることがありますで、仮歯を外したときの色を記録します。
より綺麗な色合いにするには、周囲の色との調和が必要なので、横の歯の色も記録し、技工所にデータを送ります。
仮歯を戻してから、下の歯の色も記録しました。
10日後、技工所より完成したセラミックが届きました。e-maxというタイプです。
接着処理をおこなってから装着します。
セラミックは変色しませんので、適正なメンテナンスをしていけば何歳になっても綺麗なまま。
費用はセラミック4本で352,000円(税抜価格32万円、税32,000円)、期間は3か月でした。
※術前術後には個人差があり、同様の治療結果を示すものではありません。
そのほかの治療例もご紹介します
セラミック治療例①
「前歯の被せものが変色しているので、セラミックに変えてほしい」とおっしゃって来院された方です。
保険の被せものが変色している状態でした。
後日、保険の被せものを外し、1時間ほどかけて仮歯に置き換えます。
仮歯で2週間過ごし問題ないことが確認できたので、色決めをおこないました。
完成したセラミックをセットしました。ジルコニアボンドというタイプです。
費用はセラミック2本で198,000円(税抜価格18万円、税18,000円)、期間は2か月半でした。
※術前術後には個人差があり、同様の治療結果を示すものではありません。
セラミック治療例②
「前歯の黒いところが気になってしまって」と来院された方です。
黒いのは軽度の虫歯でした。プラスチックを詰めて治せるのでその旨を説明すると
「先生、出来れば綺麗にしたいんでセラミックに出来ますでしょうか?」
とおっしゃいました。
そこで「歯全体を削る必要がありますがよろしいですか」とお伝えしたところ
「大丈夫です。以前から歯のかたちを良くしたいと思っていたんです」とのお返事。
左右の対称性を考えて、前歯2本をセラミックにすることになりました。
セラミック治療は「仮歯→色合わせ→セット」という工程で進みます。
まずは1時間半の予約時間をとって、前歯2本を削り仮歯に置き換えました。
10日後に来院していただいたところ、軽い知覚過敏で若干しみる状態。
「スコッチボンド」という薬で ”象牙質レジンコーティング” という知覚過敏処置をして様子をみたところ、3週間で症状がおさまりました。
次のステップに進み、色合わせをしてから型取りをおこないます。
データを技工所へ渡し、技工所から戻った最終チェックのフレームを試適。
問題ないのでセラミックを仕上げました。
審美性を重視して「e-Max」というタイプのセラミックを選びます。
e-Maxを2本セットしました。
費用はセラミック2本で176,000円(税抜価格16万円、税16,000円)、期間は2ヶ月でした。
※術前術後には個人差があり、同様の治療結果を示すものではありません。
セラミック治療例③
「奥歯の調子がおかしい」とおっしゃて来院された方で、診査した結果、歯根が割れていました。
この状態になっていると、残念ながら割れた歯を除去しないとなので、後日、抜歯しました。
抜歯した後はブリッジをつくることになり、”下の歯は人目にふれることがあるから”との理由でセラミックをご希望されました。
抜いた場所のハグキが回復するのを1ヶ月ほど待ってから、仮歯をつくります。
さらに2ヶ月ほど待ち、抜いた場所の凹みが回復したら、色決めをおこない データを技工所へ送ります。
セラミックが技工所から届きました。
完成したセラミックをセットしました。フルジルコニアというタイプです。
費用はセラミック2本+ダミーの歯1本で合計264,000円(税抜価格24万円、税24,000円)、期間は4か月でした。
※術前術後には個人差があり、同様の治療結果を示すものではありません。
セラミック治療例④
「奥歯のハグキの横から膿が出ている」とおっしゃて来院された方です。
レントゲンを撮ると、根の中のクスリが不足していて根管治療が必要な状態でした。
ラバーダムをした根管治療を4回おこなったところ、膿は出なくなりましたので、ファイバーポストを使った土台を付けました。
セラミックをご希望されたので、色合わせをしていきます。
技工所から届いたセラミックです。
完成したセラミックをセットしました。メタルボンドというタイプです。
費用はセラミック1本で88,000円(税抜価格8万円、税8,000円)、期間は2か月でした。
※術前術後には個人差があり、同様の治療結果を示すものではありません。
セラミックは「ブランド品を買うようなもの」
あなたが歯医者に行くときに
「あそこの歯医者は保険の歯しか選べない」
「こっちの歯医者だと自費の歯しかない」というのだとちょっと困りますよね。
ですので「保険の歯」から 「自費の歯」まで、いろいろなバリエーションをそろえたほうが良いです。
セラミックは、独身の人は「ブランド品を買うようなもの」、世帯を持っている人では「高価格の耐久消費財を買うようなもの」
ブランド品は持っていることで高い満足感を得られますし、手入れをしっかりしていれば物が良いので長く使えます。
高価格の耐久消費財(乗用車、テレビ、冷蔵庫など)は適正なメンテナンスをしていけば、一度購入したら長く使い続けることができます。
セラミックは高価ですが、綺麗な歯によって高い満足感が得られますし、変色しませんので、メンテナンスをしていけば何歳になっても同じ状態。
もしあなたが綺麗な歯を手に入れたいのならば、セラミックをおすすめします。
セラミックの種類
セラミックのかぶせ物は、2000年代から一般化された「オールセラミック」と昔からある「メタルボンド」の2種類に大きくわかれます。
メタルボンドは長いブリッジで重くなる、貴金属高騰の影響でコストが上がる、フレームに金属を使うので根元の色が濃くなる、などのデメリットがあり、最近は金属を使用しない「オールセラミック」を使うことが多いです。
オールセラミックには「e-max」「ジルコニアボンド」「フルジルコニアクラウン」の3種類があります。
e-max(イー マックス)
e-maxは、オールセラミックの一種で、材料を熱で柔らかくして鋳型に流し込む方法(ロストワックス法)でつくります。
セラミックの中で、もっとも審美的な透明感があり、適合性も良好。29色の中から近似した色合いを選択します。
※フレーム構造が弱いので、ブリッジに使用できません。
e-maxクラウン ¥88.000(税込)
オールセラミックにはジルコニアというタイプもあります。
ジルコニアは人工ダイヤと呼ばれるほど硬い素材。硬すぎて加工できなかったのですが2000年代にCAD/CAM装置の開発が進み、削り出しができるようになりました。
ジルコニアボンド
ジルコニアフレーム(高強度セラミック)に焼成用セラミックを焼き付けた構造。29色の中から近似した色合いを選択します。
ジルコニアボンド ¥99.000(税込)
フルジルコニアクラウン
ジルコニアフレーム(高強度セラミック)単体の構造。強度が高く奥歯やブリッジに用います。29色の中から近似した色合いを選択します。
フルジルコニアクラウン ¥88.000(税込)
メタルボンド
金属のフレームにセラミックを貼り付けた構造で、1960年代から使われています。 約60年の歴史のあいだにさまざまな不具合が改良された方法です。
メタルボンド ¥88.000(税込)
セラミック治療例⑤
「歯周病がひどいと他院で言われてしまって… きちんと治したいので診てもらえないでしょうか」
と来院された方です。
一通りの歯周病治療(歯周基本治療)をおこないましたが完全に治らず、
合い具合が悪い被せものを、歯周病をコントロールしやすい形態のブリッジに変えることになりました。
下の奥歯のブリッジを除去して仮歯に交換します。
「口をあけたときに、銀歯が見えるのは嫌なんです… 」とおっしゃって、相談の結果、ジルコニアというタイプのセラミックを作ることになりました。
型取り、色合わせをしてから、フレーム試適をおこないブリッジを作ります。
3本構造のジルコニアブリッジです。
ジルコニアのブリッジをセットしました。
費用はセラミック2本+ダミーの歯1本で合計264,000円(税抜価格24万円、税24,000円)、セラミック部位の治療期間は3か月でした。
※術前術後には個人差があり、同様の治療結果を示すものではありません。
セラミック治療例⑥
「左下奥歯におできみたいのが出来て、噛むとおかしい」とおっしゃって来院された方です。
レントゲンを撮ると根の病気でした。
折れた器具が入っているので歯内療法専門医と連携をとったところ、根の先に向かって割れた亀裂があり保存不可能と判明。抜歯となりました。
抜いて1ヶ月半ほど経ち、傷が治ったのでブリッジを作り始めます。
この場所は保険でつくると銀歯のブリッジとなります。
そのことをお話しすると
「先生…下の奥歯は人から見えることもあるので、多少費用がかかっても良いから白くしたいんです」
とのお返事で、セラミックを作ることになり、
このケースは奥歯で強度が必要なためジルコニアを選択しました。
型取りと同時に色合わせをおこないます。
色合わせガイドを使って「3M2」という色調を選びます。
その後フレームを試適して問題ないことを確認し、セラミックを仕上げました。
歯を抜いてからブリッジが入るまでの期間は2ヶ月半。
費用はセラミック2本+ダミーの歯1本で合計264,000円(税抜価格24万円、税24,000円)でした。
※術前術後には個人差があり、同様の治療結果を示すものではありません。
セラミック治療例⑦
「10年ぐらい前にいれた前歯のブリッジを、セラミックにできないでしょうか」と来院された方です。
拝見すると上の前歯に保険のブリッジが入っていました。
ブリッジは連結部が割れやすいため、このケースはジルコニアで対応します。
最近のジルコニアは、前歯用に色の異なる層をつなげたマルチレイヤ―タイプが開発されています。
後日、1時間半かけて仮歯にしました。
神経がある歯でしたので仮歯のまま2週間ほど様子をみます。
さいわい、問題ありませんでしたので型取りと色合わせをおこないました。
30分ほどかけて色を決定します。
歯の全体は1M1、根元は2M2、先端は1M1という色を選び、デジカメで記録します。
その後、技工所から送られてきたフレームの試適をおこない、問題なかったのでセラミックを仕上げます。
3本構造のブリッジです。
ジルコニアのブリッジをセットしました。
費用はセラミック2本+ダミーの歯1本で合計264,000円(税抜価格24万円、税24,000円)、期間は2か月でした。
※術前術後には個人差があり、同様の治療結果を示すものではありません。
セラミック治療例⑧
「2ヶ月前に被せ物をしたのだけど、他の歯と比べて黄色くなってしまって… 気になって仕方ないんです」
とおっしゃって来院された方です。
前医で下の歯6本を直したそうですが被せ物の色があっていなく、相談のうえ6本すべてをセラミックにすることになり、このケースは審美性を重視してe-Maxというタイプのセラミックを選択しました。
後日、2時間の予約をとり下の前歯6本を仮歯に入れ替えます。
神経のある歯でしたので、麻酔して処置しました。
神経がある歯は、削るとしみることがあるので仮歯で1週間ほど様子を見ましたが、さいわい、なんの症状も出ませんでした。
次のステップに進み、型取りと色合わせを行います。
30分ほどかけて色合わせをしました。「1M1」という白めの色を採用しました。
その後フレームの試適もおこない、問題ないことを確認したのちにセラミックを仕上げます。
6本分のe-Maxです。
セットしました。
費用はセラミック6本で528,000円(税抜価格48万円、税48,000円)、期間は4か月でした。
※術前術後には個人差があり、同様の治療結果を示すものではありません。
セラミック治療例⑨
「しばらく前から上の前歯の根元が膨らんだりして、違和感があるんです」
と来院された方で、根の病気になっていました。
通法通りの根管治療をしたところ、病変は縮小しました。その後に被せものをする必要がある旨をお話ししたところ、
「前歯なので、多少費用がかかってもセラミックにして欲しいです」というお返事でした。
グラスファイバー製の土台をいれたあと、1時間ほどかけて仮歯を作ります
その後仮歯で1週間ほど様子をみて、問題なかったので型取りして技工所へ渡しました。
技工所で適合度を調べるためのプラスチックフレームを作り、フレームの試適とともに色合わせをします。
30分ほどかけて色を決定しました。
歯全体は3M2、根元は3R2.5、先端は2R1.5という色調を選び、デジカメで記録します。
審美性を重視して「e-Max」というタイプのセラミックを選びます。
e-Maxを1本セットしました。
費用はセラミック1本で88,000円(税抜価格8万円、税8,000円)、根管治療の期間が2ヶ月、セラミック作成の期間が1ヶ月でした。
※術前術後には個人差があり、同様の治療結果を示すものではありません。
セラミック治療例⑩
「本当は全部セラミックにしたいのだけど、予算の点から、上の前歯2本だけ治療してほしい」
とおっしゃって来院された方です。
歯の質が弱く、多数の初期虫歯ができていました。
進行している虫歯を先に治療し、その後セラミック治療をおこないます。
神経に刺激をあたえないように前歯2本を削り、その場で仮歯をいれます。慎重におこなったので1時間半かかりました。
しばらく仮歯で過ごしていただいて、形態、咬み合わせをチェックします。
問題ないことが確認できたので、色合わせしました。
その後、技工所でセラミックを仕上げてもらいます。
メタルボンドというタイプのセラミックをセットしました。
費用はセラミック2本で176,000円(税抜価格16万円、税16,000円)、期間は2か月でした。
セラミックは1本9万円前後(税込)と高額です。この方のように、一番目立つ場所だけ被せるのも手段の一つです。
「治療前」「治療後」の比較
※術前術後には個人差があり、同様の治療結果を示すものではありません。
セラミック治療例⑪
神経をとってそのままだと、歯はだんだん黒ずんできます。そのような変色した歯をセラミックで治しました。
前歯数本が変色していますが、やはりもっとも目立つ一本を治療することになりました。
直接法でファイバーポストをつくり、一気に仮歯にします。1時間半かかりました。
仮歯にした状態で形態、咬み合わせを1ヶ月ほどチェックします。
周囲の歯の色と比較しながら、色合わせをおこないました。
その後、完成したセラミックをセットしました。メタルボンドという種類のセラミックで費用は1本で88,000円(税抜価格8万円、税8,000円)、治療期間は1ヶ月半です。
「治療前」「治療後」の比較
※術前術後には個人差があり、同様の治療結果を示すものではありません。
セラミック治療例⑫
奥歯にセラミックのブリッジをいれたケースをご紹介します。
「奥歯がゆれている」とおっしゃって来院された方です。10年以上前に移植した親知らずだそうです。
移植した歯は5年過ぎたころから骨が吸収することが多く、レントゲンを撮ると周囲骨が無くなっていました。
「揺れている歯は残念ながら元に戻りませんので、抜歯した方が良いと思います。
その後、1~2ヶ月待ってからブリッジをつくるのが一般的ですが、どうされますか」
とお話ししたところ、
「わかりました。先生、多少お金がかかっても白いのでお願いします」
とのお答えで、セラミックのブリッジで治すことになりました。
後日、揺れている歯を抜きました。
抜いた傷が治るまで、仮歯をつけておきます。
前後の歯は神経を残しました。神経を残すことで歯の寿命が延びます。
抜歯後2ヶ月で傷がほぼ治りましたので、型どりします。
完成したセラミックを装着しました。メタルボンドというタイプです。
下の歯は口をあいた時に見える場所なので、セラミックを希望される方も多いです。
「治療前」「治療後」の比較
※術前術後には個人差があり、同様の治療結果を示すものではありません。
費用はセラミック3本分で264,000円(税抜価格24万円、税24,000円)、期間は4か月でした。
セラミック治療例⑬
「鏡で自分の顔を見たときの前歯のかたちがずっと気になってて…」とおっしゃって来院された方です。
ご相談の結果、セラミックで治すことになりました。
初期治療を終わらせてから、古い歯を外します。
その人固有の歯の色をチェックし、色合わせをします。
完成したセラミックを装着しました。メタルボンドというタイプです。
費用はセラミック3本で264,000円(税抜価格24万円、税24,000円)、治療期間は3ヶ月です。
「治療前」「治療後」の比較
※術前術後には個人差があり、同様の治療結果を示すものではありません。
e-max、ジルコニアボンド、フルジルコニアクラウン、メタルボンドのどれが良いのか?
さて、セラミックは数種類あり、何を選んだら良いのかわからないかもですので、それぞれの特徴から考察してみようと思います。
家電やクルマもそうですが、なるべく長持ちして壊れないのが理想。人目に多く触れるものなら綺麗でないと困りますよね。
ですので、耐久性や綺麗さの点から考えると良いのではないでしょうか。
セラミックの種類を決めるときは強度と審美性から考えると良いです。
強度が高いと壊れないですし、審美性が高いと綺麗です。
① 強度
まず、強度は
フルジルコニアクラウン≧メタルボンド> ジルコニアボンド ≧ e-max
の順になります。
フルジルコニアクラウンは単一材料なので、適正な厚みがあれば簡単には壊れません。
メタルボンドも内部に金属があるため、そう簡単には壊れません。ただ、外側セラミックと金属フレームは化学結合でついているので、メタルボンドは長期間経過すると外側セラミックが剥がれるトラブルが起こることがあります。
ジルコニアボンドはジルコニアフレームの外側に焼成セラミックを貼り付けるのですが、フレームとセラミックは物理的結合のみで付いているので、ジルコニアボンドは、メタルボンドより外側セラミックが剥がれるトラブルが起こりやすいです。
e-maxはこの4種類のなかでは強度が低いです。(ただし、前歯に用いる場合はe-maxの強度でもまったく問題ありません)
なお、フルジルコニアクラウンとジルコニアボンドは、ポキッと折れる脆性破壊(ぜいせいはかい)という性質がありますので、大きいブリッジには使用できません。
② 審美性
どれだけ綺麗に見えるかという審美性は
e-max > ジルコニアボンド ≧ フルジルコニアクラウン ≧ メタルボンド
という順になります。
e-maxは独特の透明感があり、とても綺麗です。
その他の3つは僅差で違うぐらい。
メタルボンドは歯の根元部分が少し濃くなりますが、まじまじと見ない限り気になるレベルでは無いです。
結論
以上から考えると、
前歯で審美性を高めたい場合は、e-max
奥歯やブリッジでe-maxが使えない場合は、フルジルコニアクラウン
大きなブリッジでフルジルコニアクラウンが使えない場合、メタルボンド
となります。
↑ 来院した方にお配りしている「被せもの比較表」です。参考にしてください。
セラミック治療の進み方
コンサルテーション
お口のチェックをおこなった後、セラミックに関してのご相談をお伺いします。
疑問点がありましたら、お尋ねください。
初期治療
型どりまでにハグキの状態を整えます。
根の病気があったら、事前に根の治療もおこないます。
(初期治療は保険で可能です)
シュミレーション
皆様、自分の歯に何らかの理想をお持ちです。
仮歯を実際に使っていただき、最終的な状態をイメージしていきます。
色合わせ
ガイドを元に、お顔とマッチした歯の色を選びます。「3Dマスター リニアシェードガイド」という最新の色調見本を使います。
セット
調整した後に接着します。
メンテナンス
定期的なクリーニングをおこないます。
セラミックは変色しませんので、適正なメンテナンスをしていけば何歳になっても綺麗な状態です。
セラミックの色合わせについて
セラミックは細かい色調整で歯の色調を再現できますが、そのためには綿密な色合わせが必要。
30分~1時間ほどの予約時間をとり、VITA社の「3Dマスター」という最新の色調ガイドを使って色合わせをします。
3Dマスターは、まずは明るさを6段階(0,1,2,3,4,5)から選択し、次に彩度の強さと色調を選択するシステム。
「明度」と「彩度、色調」を切り離して選ぶので、適格な色を選べます。
「わたしはすごく白い歯にしたいんです」という人がいれば、
「周りの歯と似た色合いで、自然な感じに仕上げて欲しいです」
という人もいますので、ご希望を伺って、相談しながら色を決めていきます。
ちなみに、以前は「VITA クラシカルシェード」という色調ガイドを使っていましたが、クラシカルシェードは「明度」の評価基準が無く、正確な色合わせが困難でした。
そこで技工士さんが医院に来て歯の色を確認していましたが、最新システムの3Dマスターによって状況が一変。
2020年から、わたしが色合わせしたデータを技工所へ送るシステムです。
セラミックは施術する側も研鑽が必要
セラミックは1本9万円前後と高額ですので、施術する側にはそれ相応の研鑽が必要。
わたしは日本補綴歯科学会 という被せものを研究する学会に入り、最新知識を学ぶことでセラミックへ対応しております。
お気軽にご相談にいらしてくださいね。