30代前半まで、わたしは1日1箱タバコを吸っていました。
総合病院の禁煙外来に行ったりして何度か禁煙にトライしましたが、その度に失敗。
タバコって中毒性が高いから、なかなか止められないんですよね。
「吸いたいんだから仕方がない…」と半ば諦めていましたが、父親に肺がんが発覚。
半年ぐらい後に亡くなったのを見てさすがに怖くなり、完全にタバコをやめることを決意しました。
1か月ほど禁断症状で苦しみましたが、ガムを噛んだり、お茶を飲んだりして乗り切り、それから1本も吸っていません。
タバコのニコチンが血管を縮ませます
さて、わたしの話はさておき、タバコは歯周病を悪化させます。
どうしてかというと… ニコチンが血管を縮ませるから。血管が縮むと血液量が少なくなりハグキへの栄養供給が不足するのです。
また、タバコを吸っていると歯の表面にヤニが溜まります。
ヤニはざらざらしているので食べたあとの汚れが着きやすく、歯石の量が増加してしまいます。
タバコが健康に悪いことは明らか。
飲食店の全面禁煙なんて話もありますし、歯医者の立場からみてもタバコはやめたほうが良いですよ。
歯周病と糖尿病
歯周病は、他の病気とも関連があることがわかってますので、それについてもお話しします。
糖尿病になってしまった方は、食事制限、運動などいろいろ努力されていると思いますが、歯周病を治すと糖尿病に効果があることはご存知でしょうか?
歯周病は少しの刺激でもすぐに出血し傷口ができます。
その傷から歯周病菌の毒素が体内に侵入。侵入した毒素は血液にのって身体の各所に移動し、インスリンの力を減少させます。
過去2か月間の血糖を知るのにHb A1c(ヘモグロビン エーワンシー)という指標があります。
糖尿病はHb A1cが8.0%を超えると要注意で、9.0%以上だと出血をともなう歯科治療は控えたほうが良い状態。
糖尿病で怖いのは、高血糖によって血管にダメージがたまり合併症が起こることですが、Hb A1c が 1%低下すると、糖尿病による心筋梗塞発症のリスクは18%、脳卒中のリスクは15%下がります。
(数値は「照会状書いて 返書読んで ガイドブック」デンタルダイヤモンド社より引用)
そして歯周病が良くなるとインスリンの力が増強しHb A1c が約0.5%下がるのです。
それだけ合併症のリスクが減少するので「歯周病が良くなる」のは糖尿病治療に大きな意味があります。
2016年の 糖尿病診療ガイドラインには「本ガイドラインは糖尿病患者への歯周治療を推奨」と、はっきり明記されています。
糖尿病連携手帳にも歯科項目が大幅に増え、3か月に1回の歯科受診記録欄が増設されました。
現在、歯周病は糖尿病の第六の合併症と言われています。
歯周病と誤嚥性肺炎
歯周病は “誤嚥性肺炎” とも関連があります。
「日本人の死因の第3位は肺炎」と、ときどき耳にしますが、そのほとんどは高齢者の誤嚥性肺炎。
年を取ると、ものを飲み込む動作が衰え、本来、食道に行くはずのものが気管に入り、「間違って肺にはいった細菌」が原因で誤嚥性肺炎は起こります。
お口の中には500種類以上の細菌が住んでいます。
歯周病があったり歯磨きが不十分だと口の中の細菌は増えますが、歯周病を治して歯磨きをしっかりとおこなうと、誤嚥性肺炎の原因となる細菌が減少。
つまり、歯磨きのレクチャーを受け、お口の中を清潔に保てば、誤嚥性肺炎は予防できます。
歯周病はけっこう、たちの悪い病気。
40代以上から症状が重くなる傾向がありますので、 長年 歯医者にかかっていない方はお気を付けくださいね。