入れ歯はそれなりに勉強しているのですが、学ぶほど限界がわかるようになってきます。
なぜなら入れ歯には難症例が存在するからです。
コンビネーションシンドローム
難症例のなかでも、一二を争う難しいケースが 「コンビネーションシンドローム」と呼ばれる状態。
上の写真のように、上は総入れ歯、下は前歯が残っているときのことです。
下の前歯の突き上げによって、上の前歯部のハグキがフニャフニャになり、すぐに痛くなるよう変化してしまいます。
さらに下の前歯の突き上げによって、上の入れ歯は回転して簡単に落ちます。
実際のケース
下は、「上の入れ歯が痛いし、落ちてしまうので何とか出来ないですか…」とおっしゃって来院された方です
咬み合わせ平面が曲がり、噛んだ時に入れ歯を滑らす力が働いています。
下の被せものを除去し、咬み合わせ平面を修正してから入れ歯をつくれば状況は改善するかもですが、それには数か月必要。
90歳近くの年齢で、大変な治療はご本人が望んでいなく、現状のままでいく方針へ。
このままの状態で新しい入れ歯を作っても良くなる見込みは少ないことをお話しし、何もせず今の入れ歯を使うことにしました。
わたしとしてはどんなケースも何とかして差し上げたいのですが、残念ながら入れ歯治療には限界があります。
自分の歯が残っている方はその歯を大事にしてください。
入れ歯にならないのが一番です。