ピンセットでつかんだファイバーポスト

最近は金属以外の新素材の保険導入が相次いでいます。

その中でも特筆すべきなのが、2016年に保険導入された「ファイバーコア」

 

歯根破折を防ぐには…

歯科医学が発達した現在は、メンテナンスをおこなえば虫歯と歯周病は予防できます。
ただ、予測不能に発生してしまうのが、歯を失う原因第3位の歯根破折

自分の歯を維持するには、歯根破折を防ぐ必要があります。

割れた歯と、歯を失う原因のグラフ

根の治療が終わりましたら、歯に土台を入れるのですが、実は歯根破折と土台の素材に大きな関連があります。

歯と土台の材料のしなやかさ(弾性)が違うと、歯根破折が発生しやすくなるのです。

メタルコアのイラスト

以前は、土台の素材は金属しかありませんでした。

金属の土台はクサビのように歯に食い込み、徐々に歯にヒビが入り、十数年使用すると歯根が割れてしまうことが頻発していました。

ファイバーコアは保険に認可されています

ファイバーコアの構造図

 

「なんとか歯根破折をふせがないと…」

そんな要望から開発が進んだのが、グラスファイバーを利用した「ファイバーコア」

ファイバーコアは、歯と弾性係数がほぼ同じため、歯根破折を予防できます。

開発当初は保険に収載されていなく自費のみでしたが、2016年に国(厚生労働省)が保険認可しました。

金属の土台をいれると「歯根破折で抜歯⇒ブリッジや入れ歯」となり、さらなる医療費の増大につながると厚労省は判断したのでしょう。

わたしはそれまで既製スクリューポストを使用した直接法レジンコアという方法をおこなっていましたが、術式がほぼ同じなので問題なく導入できました。

歯根破折の防止は、歯を失わないためにとても大切。

現在、内田デンタルは保険・自費に関係なく金属の土台をまったく使わず、ファイバーコアを用いています

ファイバーコアを装着した写真(保険の被せ物)

『先生はなんでそうしてくれるんですか?』

世の中にはファイバーコアを保険診療ではしていない歯科医院もあるようで、

他院で「自費ならファイバーコアになるので歯が長持ちしますけど、保険は金属の土台を使うので歯に良くないです。多少お金がかかっても自費にしたほうが良いですよ」と説明をうけた方がときどき来院されます。

そして、

内田デンタルが保険でファイバーコアと知って来院しました。患者としてはとてもありがたいことなんですけど、先生はなんでそうしてくれるんですか? 前に通っていた歯科は自費でしかファイバーコアをしてくれなかったんです」

とお話しされます。

ですけど、そもそもファイバーコアは保険で認可されていて保険診療で使える材料です。

「ファイバーコアはセラミックやインプラントなどの保険認可されていない特殊な治療法ではありません。保険導入されてますし技術的にも簡単なのですよ」

とお答えしています。

『ファイバーコアを入れてくれるかどうか』は、とても大事なポイント

下の写真は「奥歯が痛くて噛めない…」とおっしゃって当院にいらした方です。

ぐらぐらになった下の奥歯

お口の中を見てみると、右下の奥歯がぐらぐらでした。

歯根破折した3本の歯のレントゲン

レントゲンを撮影し調べてみると奥歯の金属の土台(メタルコア)が入っていて、その影響で3本の歯が割れています。

歯を抜いた写真

この状態から歯を残すことは不可能ですので、残念ながら抜歯となり部分入れ歯を作ることになりました。

メタルコアを入れたら、あなたの歯も最後はこうなってしまうかもしれません。

歯医者を選ぶときに『ファイバーコアを入れてくれるかどうか』は、とても大事なポイントです。

ファイバーコアの材料

内田デンタルのファイバーコアは保険・自費にかかわらず、歯科材料のトップブランドであるジーシー社、クラレ社の製品を使用しています。

GCファイバーポストとクリアフィルDCコアオートミックスONE

日本製の『GCファイバーポスト』(ジーシー製)に、同じく日本製の『クリアフィルDCコアオートミックスONE』(クラレ製)と『クリアフィルユニバーサルボンド Quick 2』(クラレ製)を組み合わせています。

保険診療において材料のグレードを落とすことはしていません

最安値の商品と比べると材料価格が1.8倍ほど上がり、年間約10万円ほどのコストアップになりますが、コストを抑えるために素性のわからない材料を使う気にはなりません。

内田デンタルの自費の被せ物にはファイバーコア代が含まれています

また、セラミックなどの自費をする時に、多くの医院はファイバーコアを別料金として10,000円~20,000円に設定していますが、

内田デンタルは自費の被せ物(ジルコニアやe-Maxなど)の料金にファイバーコア代が含まれていて、ファイバーコアの別料金はかかりません。

ファイバーコアを装着したジルコニアブリッジ

どうしてかというと、ファイバーコアは技術的に簡単であり、処置料を頂戴することに気が引けるからです。

材料代を別途請求することも考えましたが、『GCファイバーポスト』『クリアフィルDCコアオートミックスONE』『クリアフィルユニバーサルボンド Quick 2』の材料代を合計しても1歯1200円~2000円程度であり、自費の料金に含めてもさほど問題ない金額です。

それならば明朗会計のために自費のファイバーコアを別途請求しないほうが良いだろう、という判断です。

「以前かかっていた歯科は自費でのファイバーコアは別料金だったのでありがたいです」

とおっしゃる方は思いのほか多く、大変好評です。

 

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