手に持ったマウスピース

歯ぎしり・くいしばりは、その人の体重より大きな力が生じ、歯が割れたり、歯周病を悪化させます。

歯ぎしりは寝ている時、くいしばりは力仕事の時にすることが多く、どちらも無意識なのでコントロールできません。

ですので、歯ぎしり・くいしばりの対策としてマウスピースをつくることが保険診療で認められています

マウスピースがクッションとなり、歯にかかる強い力を吸収してくれます。

歯ぎしり・くいしばり用のマウスピースは保険診療でつくれます

マウスピースは保険でつくれ、3割負担だと約3000円、2割負担は約2000円、1割負担は約1000円です。

なお、保険診療でつくれるのは歯ぎしり・くいしばり用のみで、スポーツ用のものは保険で認められていません

また、ときどき「一日でマウスピースを作れますか?」というお問い合わせがありますが、型取りして技工所へ出す都合上、マウスピースを作るには最低2回以上の来院が必要です。

マウスピースの実際例①

装着したマウスピース

介護の仕事をしている方で、仕事中に利用者さんを持ち上げるため、かなり食いしばるそうです。

「マウスピースをしてから顎が楽になった」
とおっしゃっていました。

※効果には個人差があります。

マウスピースの実際例②

装着したマウスピース②
くいしばりが強く歯根破折を繰り返している方に、破折防止のためマウスピースをつくりました。

その後、歯の破折は起きていません。

※効果には個人差があります。

マウスピースをご希望の方にひとつご注意をがあります

なお、マウスピースを入れた人には、保険の白い被せものである「下顎大臼歯CADCAM冠」と「高強度硬質レジンブリッジ」をつくることが保険診療の制度上、出来なくなります

「下顎大臼歯CADCAM冠」と「高強度硬質レジンブリッジ」の保険ルールには噛み合わせが強い人は適応外という文言があり、それにひっかかってしまうからです。

歯根破折について

歯を失う原因のグラフ

神経をとった歯に、歯ぎしり・くいしばりの強い力が働くと、歯に少しずつヒビが入り、最終的に割れてしまいます

下の方は「1週間くらい前から奥歯が腫れて、咬むと違和感を感じるんです」と来院されました。

歯根破折でハグキが腫れた状態

一番うしろのハグキが腫れています。

レントゲン上の破折歯

レントゲンを撮ったところ、歯根周囲に膿が溜まっていました。症状から考えて「歯根破折」が疑われます。

炎症により周囲骨が溶けてハグキの中でぷらぷらになった状態で、麻酔して引っ張っただけで歯根が抜けました。

歯の半分はまだ口の中に残っていますが、このままだと炎症がおさまらないので、残っている歯も取りました。

真っ二つに割れた歯根

歯が真っ二つに割れています

マウスピースをつけると、このような 「歯根破折」の可能性が下がります。

歯ぎしり・くいしばりの習慣がある人は、ご一考を。

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