肺炎のほとんどは高齢者の誤嚥性肺炎
「日本人の死因の第3位は肺炎」と、ときどき耳にしますが、そのほとんどは高齢者の誤嚥性肺炎。
年を取ってものを飲み込む動作が衰え、本来、食道に行くはずのものが気管に入り、「間違って肺にはいった細菌」が原因で肺炎が起こります。
高齢や病気で介護が必要になり自分での歯磨きが歯磨きが難しくなると、口の中の細菌がとても増えて誤嚥性肺炎の発生率が大きく上がり、体力が弱っていると死に直結します。
お口の中には500種類以上の細菌が住んでいます。
誤嚥性肺炎は唾液中の細菌が少なくなると発症しにくくなるので、歯磨きのレクチャーを受け、3~4ヶ月ごとに歯のメンテナンスをおこなうと予防できます。
自分での歯磨きが歯磨きが難しい場合は「口腔ケア」
「口腔ケア」という言葉をご存知でしょうか?
自分での歯磨きが歯磨きが難しくなった方へ、第3者がお口のお掃除をおこなうことを 「口腔ケア」 と呼び、これをおこなうことで、口の中の細菌量を減り誤嚥性肺炎を防げます
口腔ケアの実際例
80代後半の方の定期的な歯のお掃除をおこなっています。近所のおばあちゃんで、杖をつきながら来院されます。
最初にいらしたときは 「上の入れ歯が合わなくて、下の歯も抜けたままなので、先生、治してもらえますか?」とおっしゃっていました。
4ヶ月かけて、上には入れ歯をつくり、下の歯にはブリッジをつけました。
「先生、ぴったりして、気持ちいいわ」 とおっしゃっていただきました。 嬉しい限りです。
ただ、問題があります。
歯磨きが苦手なのです。磨き残しは細菌の温床。
80代後半だと、身体のいろいろな機能が衰えています。嚥下機能も同様で、唾液が間違って気管へ入ってしまう “誤嚥” が多くなります。
高齢者の死亡原因の第2位は “肺炎”。
そして高齢者の肺炎の70%は、口腔内の細菌を誤嚥してしまう誤嚥性肺炎。
誤嚥したときに口の中の細菌を飲み込んでしまうのです。
ひとまず歯磨き練習をして、歯のクリーニングをしました。この状態なら細菌は減少し、誤嚥性肺炎のリスクも下がります。
心配だったので1ヶ月後に、またいらしていただくことにしました。
<1ヶ月後>
染め出しをすると、磨き残しがけっこうありました。歯磨きの練習をしてから再びクリーニングです。
虫歯・歯周病予防のためではなく、誤嚥性肺炎の予防です。
また1ヶ月後にチェックです。
<1ヶ月後>
入れ歯の調子は問題なかったのですが、染め出しをするみると、やっぱり磨き残しがありました。
再び歯磨きの練習をしてからクリーニング。
また1ヶ月後。
やっぱり、歯磨きは苦手みたいです。
こうして、最近は1ヶ月に1回、歯のお掃除を続けているかたちです。
できたら、ご自分ですみずみまで歯磨きしていただくのが良いのですが、80代後半になって長年の習慣を変えるのは大変です。
このような場合は歯科医院でフォローアップですね。