下の総入れ歯は痛みがでやすく悩みの種なのですが、2016年から 難症例に限り「軟質材料による張り替え」という新技術が保険導入されました。
何度調整しても痛みが出てしまう患者さんに、この方法をおこなってみましたのでご紹介します。
なお、この方法は1週間程度入れ歯をお預かりする必要があり、そのあいだはスペアの入れ歯を使っていただくことになります。ですので、入れ歯が2個以上ある方でないと出来ません。
粘膜が過敏で、下の総入れ歯による痛みがすぐにでてしまう状態。
現在使っている入れ歯に接着剤を塗り、型取りの準備をします。
入れ歯を噛んだ状態で型どりする特殊な方法をおこないます。
型取りと同時に、咬み合わせの記録をとりました。
型どりした内面。型どり材が均一に広がり綺麗に採れました。
軟質材料はあたりが出たときの調整が難しいので、ほぼ無調整にしないと成功しません。
1週間ほどで技工所から戻りました。
薄ピンクのところが軟質部。
セットしました。軟質部がクッションとなり入れ歯の痛みが軽減します。
なお、この治療法にはひとつ欠点があります。
それは 真ん中で割れること。
軟質部によって、入れ歯の厚みが減ることが原因です。
同様の治療法には、自費の「コンフォート」という方法があります。
自費の場合は補強プレートを入れることが可能ですが、保険は補強プレートが認められていません。
ただ、心配しないでください。
たいていは軟質材料の部分が裂けずに残り、修理に出せば直せます。
自費のほうが良いものができるのは確かですが、そのぶん費用も高額。
保険診療の利点・欠点を把握しながら、保険と自費をうまく使い分けるのが歯科治療のポイント。
皆様、お気軽にご相談・ご来院ください。