顎関節症へ咬み合わせ調整する治療(咬合治療)はおこなっていません

顎関節症治療のガイドライン

顎関節症へ咬み合わせを調整する治療(咬合治療)は、現在の歯科では、おこなわないほうが良いと言われています。

ひとつ例をお話しします。

 

咬合違和感症候群の一例

「右上の被せものが割れてしまったので治してもらえますか? 」とおっしゃって来院した方です。

割れた被せもの

お話しを伺うと、複雑な経緯をお持ちでした。​

30代のとき顎の調子が悪くなり、被せものを変えたり、マウスピースをつける治療を4年ほどおこなったそうです。しかしあまり良くならず転院。

転院先は顎関節症の改善を目的とした矯正歯科でしたが、 かえって顎の痛みが強くなり半年ほどで矯正をストップ、また転院したそうです。

つぎの転院先は完全自費治療の埼玉の歯科医院。咬み合わせ調整を何回もしたそうですが、まったく良くならず再び転院。(毎回の治療費が2万円で、60万円の装置もつくったそうです。)

40代になり、東京の顎関節症治療で高名な歯科医院(わたしもこの先生の書いた専門書を読んだことがあります)に2年ほど通院。心療内科にも並行して通院し、やっと症状が改善した、とのことでした。

顎関節症に咬み合わせ調整をする治療(咬合治療)は、以前は多くおこなわれていました。 ただ、この方のように治らないことが多く、現在、咬合治療はしないほうが良いと言われています。

被せものの下の虫歯

被せものを外してみると、虫歯になっていました。

仮歯をつけた状態

虫歯を取ってから被せました。新しい被せものをきっかけに顎の調子が悪くならないように経過をみていましたが、問題ありませんでした。

この方は「咬合違和感症候群」という状態でもあり、必要最小限の治療にとどめています。